2024年2月9日(日本時間)
WBO世界スーパーライト級(63.50キロ以下)タイトルマッチ
テオフィモ・ロペス(王者)VSジャーメイン・オルティス(WBO同級10位)
開催地: ラスベガス
若くして輝かしい実績を残しているロペス。対してオルティスはようやくの世界挑戦。だがオルティスの実力は十分王者クラス。アップセットが起きそうな予感。
選手情報
テオフィモ・ロペス
生年月日: 1997年7月30日 (26歳)
国籍: アメリカ
異名: ザ・テイクオーバー(奪取)
プロ戦績: 20戦19勝(13KO)1敗
現WBO世界スーパーライト級王者
元WBAスーパー・IBF・WBO世界ライト級統一王者、世界2階級制覇王者
身長173cm・リーチ174cm・オーソドックス
過去の対戦相手: 中谷正義(⚪️判定3-0)、リチャード・コミー(⚪️2RTKO)、ワシル・ロマチェンコ(⚪️判定3-0)、ジョージ・カンボソスJr(⚫️判定1-2)、ジョシュ・テイラー(⚪️判定3-0)
対戦してきた相手は錚々たる面子。PFP最強と評価されていたロマチェンコ、元4団体統一王者ジュシュ・テイラーを破っている。格上相手に勝負強さを見せる一方で、カンボソスにまさかの敗戦を喫したりとパフォーマンスにやや波がある。
ファイトスタイル
L字ガードの構えで冷静にパンチを見切るセンスと、危険なタイミングでもカウンターを合わせる度胸を兼ね備えている。
アスリート能力も高いが突出した何かがあるというよりは、レーダーチャートで表すと綺麗な多角形になるような万能型ボクサー。
ジャーメイン・オルティス
生年月日: 1996年4月28日 (27歳)
国籍: アメリカ
異名: ザ・テクニシャン
プロ戦績: 19戦17勝(8KO)1敗1分
身長173cm ・リーチ175cm ・スイッチヒッター
過去の対戦相手: ジャメル・ヘリング(⚪️判定3-0)、ワシル・ロマチェンコ(⚫️判定0-3)
実力に知名度が追いついていないボクサー。ロマチェンコに惜しくも敗れたが、技術戦でまったく引けを取らなかった。
ファイトスタイル
動体視力が良く、スウェー、ダッキング、バックステップを中心としたディフェンスで被弾が少ない。ハンドスピードと手数重視のためパンチ力は並だが、多彩なコンビネーションを絶えず打ち続ける。スイッチヒッターでもある。
注目ポイント
両選手はアマチュア時代に全米ゴールデングローブ準々決勝で対戦し、ロペスが勝っている。
両選手ともロマチェンコと対戦歴がある。ロペスは判定勝ち、オルティスは判定負けだったが、アグレッシブでよりロマチェンコにダメージを与えたのはオルティス。
試合解説
1R
両者ジャブを軽く差し合い様子見。距離が遠い。プレッシャーをかけているのはロペス。ラウンド後半、両者近い距離で打ち合うが、互いにクリーンヒットは許さず。
積極性を評価して、10-9でロペス
2R
リングを広く使うオルティス。ハンドスピードはオルティスが上回っている。ロペスが1発打てば、オルティスは3,4発のコンビネーションを打つ。
オルティスは軽いパンチではあるがヒットしている。対してロペスのパンチは届いていない。終了間際、ロペスが強烈な右ストレートを放つもクリーンヒットせず。
10-9でオルティス
3R
抜群の動体視力でパンチを見切るオルティス。そして瞬時にロペスのサイドに回り込みコツコツ当てる。スピードは明らかにオルティスが上。
オルティスがスイッチしながらラッシュをかけるが、ロペスはしなやかな動きでかわす。そしてドヤ顔。
見栄えのいいパンチを当てていたのはオルティス。10-9オルティス
4R
オルティスはヒットアンドアウェイを徹底している。ロペスは工夫しなければ、このままポイントアウトされると思った矢先、ロペスが右ボディを囮に左フックを顔面にヒットさせる。オルティスは足を使い流れを落ち着かせる。
ラウンド後半、ロペスが踊りステップで来いよ来いよとオルティスをおちょくる。キレたオルティスが接近し猛ラッシュをかけるが、ロープを背にロペスが華麗にかわす。そしてドヤ顔。
左フックの印象で、10-9ロペス
5R
オルティスの鋭い左ショートがロペスの顎をかすめる。オルティスは距離を取り直し、すぐさま距離を詰め左ボディーストレートをヒットさせる。続けてジャブも顔面にヒット。
ロペスのパンチは空を切り続ける。オルティスが試合をコントロールし始めている。ラウンド後半、オルティスはセーフティにクリンチする。
明確に10-9オルティス。
6R
距離を取り手を出さないオルティス。休むラウンドか。するとまたしてもロペスのおちょくりステップが発動。近づくオルティス笑。左ボディーストレート、右フック、左ストレートとコンビネーションを打つもヒットせず。
今度はロペスがプレッシャーをかけ左右のフックを放つが空を切る。スピードで劣るロペスはオルティスを捉えられない。
10-9でオルティス
7R
このままではまずいと気合いを入れるロペス。オルティスは徹底して距離をとり、リスクを冒さない。ロペスがう○こ座りで停止、今回は挑発に乗らないオルティス。
ラウンド中盤、近距離の打ち合いでロペスによるバッティングが発生し、一時中断。オルティスが流血。止血が行われ無事再開。
ロペスは流れを変えるチャンスと言わんばかりにギアを上げパンチを出すが、巧みにかわすオルティス。オルティスもジャブを上下に打ち分け、コンビネーションも織り交ぜ主導権を渡さない。
ラウンド後半、オルティスの右フック、左ショートがヒットするも威力はない。
微妙なラウンドだが、10-9でオルティス
8R
変わらず足を使い距離を取るオルティス。ロペスがタイミングをずらし、飛び込んで左フックを放つが、オルティスは何なくダッキングでかわす。
両者手数少ない。本来カウンター狙いのスタイルであるロペスにとって、オルティスは相性最悪か。軽くではあるがコツコツ当てるオルティスに対し、ロペスのパンチは空を切り続ける。
ロペスの空振りの印象が悪いため、10-9でオルティス
9R
ラウンド序盤、オルティスが見栄えのいい右フック、左ストレートを放つがヒットはせず。ロペスを下がらせたら、再び距離を取り休む。試合運びがうまい。
ラウンド後半、ロペスはオルティスをコーナーに追い込み右ストレートを打つが、オルティスはうまくかわし回り込む。そして逆にオルティスがラッシュを浴びせる。見栄えはいいがヒットはしていない。
終了間際、ロペスはコンビネーションを打ちながらバランスを崩しスリップ。ロペス疲れてきたか。オルティスはフットワークにキレがありまだまだ元気。
10-9でオルティス
10R
ポイントでは不利と感じたか、ロペスがプレッシャーをさらに強める。力強いフック、右ストレートを放つが、バックステップでかわされる。オルティスは右フックを軽くヒットさせ、クリンチ際にボディーをコツコツ当てる。両者大きな見せ場なし。
10-9でオルティス
11R
開始早々ロペスが飛び込んで右ダブルを放ち、2発目がヒット。すぐさまエスケープして距離を取るオルティス。今度はオルティスが左ショートをヒットさせる。中盤から後半にかけては両者高度なディフェンス技術で被弾を許さず。
プレッシャーの強さでロペス10-9
12R
最終ラウンド。ロペスがプレッシャーをかけ、大振りパンチで一発を狙う。オルティスはうまくかわし、セーフティに距離を保ち時折打ち返す。
中盤オルティスはサークリングして逃げ切る作戦。ロペスはコーナーに追い込むがパンチは空を切る。
ラウンド後半攻めてこないオルティスに対して、ロペスが仁王立ちで挑発。最後は両者打ち合うもクリーンヒットなしで試合終了。
10-9でロペス。
試合全体を通して大きな見せ場はなく、退屈な試合ではあったが、高度な技術戦というのはそういうものだ。
カズキ採点では116ー112でオルティスの勝利。
果たして結果は。。。
試合結果
ジャッジ1人目117ー111、2人目115ー113、3人目115ー113。
以上、3ー0の判定で勝者…
and STILL!!!
ザ・テイクオーバー!テオフィモ!ロペス!
厳しい試合だったからか、感極まるロペス。オルティス残念。アマ時代のリベンジならず。初の世界挑戦失敗。
感想
カズキ採点はオルティスの勝ちだったが、ロペスの勝ちでも文句はない。両者とも明確に取ったと言えるラウンドはほぼなかった。あとはジャッジの好みだろう。ロペスの積極性が評価されたのだろう。
ロペスの強敵から逃げないマッチメイクは非常に好感が持てる。ジャーボンテイと違って。まあ、ジャーボンテイの話はさておき。
スーパーライト級は全階級で今最もハイレベル。まずプログレイスに圧勝したヘイニー、化け物マティアスがいる。他にもイスマエル・バロッソ、アントゥアン・ラッセル、ライト級からイサック・クルスも上がってくる。ロペスを含めWBSSをしたら最高に盛り上がるだろう。
最後に今回負けたオルティスだが、まだ27歳と若いし、あくまで負けたのはロマチェンコ、ロペスといった超実力者達。間違いなくベルトを取れる実力はある。タイミングと運もあるし。今後もこのブログでジャーメイン・オルティスの試合を追いかけていくぞ!
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