井上尚弥を倒す前に調整試合「サム・グッドマンVSチャイノイ・ウォラウット」

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2024年7月10日

スーパーバンタム級12回戦(55.34キロ以下)

サム・グッドマン(WBO・IBF同級1位)VSチャイノイ・ウォラウット(WBC同級8位)

開催地: オーストラリア

現在IBFとWBOでランキング1位であり、井上尚弥への指名挑戦権を得ているグッドマン。しかしグッドマンはPFP最強ファイターに挑む前に調整試合を挟む決断をした。

この選択をするボクサーは珍しい。大抵のボクサーは千載一遇のチャンスとばかりに飛びつく。負けても巨額のファイトマネーを得られるからだ。

万全の準備をして井上尚弥を絶対に倒すという本気度が伝わる。お金よりも勝利とベルトが重要だと言うことだ。素晴らしいスピリット。

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選手情報

サム・グッドマン

生年月日: 1998年10月10日 (25歳)

国籍: オーストラリア

プロ戦績: 18戦全勝(8KO)

身長169cm・リーチ169cm・オーソドックス

過去の対戦相手: ライース・アリーム(⚪️判定3-0)、TJ•ドヘニー(⚪️判定3-0)

ファイトスタイル

基本に忠実な正統派ボクサー。ワンツー主体でシンプルではあるが、パンチの精度と貫通力が高い

KO率が高くないのは、無理をしてまで倒しに行かない、危険なタイミングでは打たないなどリスク管理を徹底しているからだろう。軽量級のビボルと言えば分かりやすいか。

フルラウンドの戦いに慣れておりスタミナは十分。それに加えて打たれ強。ドヘニーやアリームといった強打者相手にも一歩も引かず打ち勝った。

チャイノイ・ウォラウット

生年月日: 1997年6月24日 (27歳)

国籍: タイ

異名: ロックマン

プロ戦績: 26戦25勝無敗(15KO)1分

身長167cm ・リーチ不明 ・オーソドックス

過去の対戦相手: 有名な相手はおらず

ファイトスタイル

過去の試合映像を観たところ、パンチ力はある。だが攻めの引き出しが少なく、打つタイミングも今ひとつなため倒し切れない。

ディフェンス面はガードが下がりっぱなしではあるが、わりと巧みなボディワークでかわす。

同郷のレジェンドであるシーサケットをオーソドックススタイルにしたような感じかな。

注目ポイント

SNSでは「井上から逃げた」「ベルト返上を待ってるのか」と理不尽にグッドマンを批判するコメントが多数見られる。そもそもグッドマンは7月に調整試合を挟むことが先に決定しており、井上とは12月に対戦できたらという話だったようだ。井上の勘違いもあり、9月に対戦する予定だったが逃げたというデマが流れた。

井上尚弥のような偉大なボクサーが相手となると、万全な状態で臨めるようスケジュール管理が慎重になるのは当たり前の事だ。井上尚弥がAサイドだからそっちが合わせろとかそういう話ではない

グッドマンはベストの相手とはベストのタイミングで戦いたいという考えなんだろう。タイミングが合わなければ、他の者にチャンスが回るのは承知の上だろう。だから挑戦者側が妥協する必要もないんだよ。SNSにチラホラいる過剰な井上尚弥信者はもっと考えて発言してほしい。

熱くなり申し訳ございません。。。

グッドマンにはこの試合を無事クリアしてもらい、ぜひ井上尚弥戦を実現してもらいたい。

試合解説

入場シーンでは炎が吹き上がる演出。会場の熱気も凄い。

オーストラリアのボクシング興行も盛り上がってるな〜

1R

チャイノイが前に出る。強打をぶんぶん振り回す。

バックステップで距離を保ちつつ、冷静にパンチを見切るグッドマン。

グッドマンはジャブをコツコツ当ててコントロール。対するチャイノイもボディージャブをいくつかヒットさせる。

手数・積極性を評価し10-9チャイノイ

2R

リング中央で打ち合う両者。荒々しく振り回すチャイノイ。精度は今ひとつ

冷静にパンチを見切り、要所要所ワンツーをヒットさせるグッドマン。綺麗だが威力はそうでもないか

10-9グッドマン

3R

早速グッドマンがカウンター気味にジャブを合わせる。バランスを崩しよろけるチャイノイ。

ジャブを中心に的中率はグッドマンが上回るが、両者決定的なパンチはもらわない。

するとチャイノイが鋭い右アッパーをヒット!効いた素ぶりは見せないグッドマン

見栄えのいい右アッパーを評価し、10-9チャイノイ

4R

顔面ガラ空きのまま突っ込んできたチャイノイに、グッドマンはカウンター左フックをヒットさせる

グッドマンはさらにボディー・顔面と流れるようなコンビネーションを打ち込む。左ボディー、右ストレートがヒット

技術の差で押し込み出してきたグッドマン。

10-9グッドマン

5R

ワンツーからの左フック、右ボディーと有効打を重ねるグッドマン

ところがチャイノイが怒涛どとうの反撃。ガードお構いなしに連打を浴びせる。右ストレート、左フック、左アッパーと立て続けにヒット!

だがグッドマンは下がらない左フックをおとりに右ストレートを当て返す

チャイノイの迫力ある連打が印象に残った。10-9チャイノイ

6R

猛獣のように拳を振り回してくるチャイノイ。グッドマンは上手くさばき、ジャブを中心とした丁寧な攻めで押し返す

パワーでは劣るが、技術で打ち勝つスタイルは井岡一翔と重なる。

10-9グッドマン

7R

さっそく近距離でガチャガチャ打ち合う。時折放つチャイノイのアッパーが恐い

チャイノイはディフェンスが集中してきた。

激しい打ち合いの中で、グッドマンの左ボディーショットがクリーンヒット!やや効いた素ぶりを見せたチャイノイ

チャンスと見たグッドマンは右ボディー、左ボディーと続けてヒット!だがチャイノイの手数は落ちない不死身か。

10-9グッドマン

8R

インファイトで優位に立つグッドマン。明らかに精度で上回りカウンター気味に何度もいいパンチを当てている

それでもチャイノイの手数は落ちないタフだ。

するとグッドマンの左ボディーショットがクリーンヒット!一瞬動きが止まるチャイノイ。だがすぐに反撃するチャイノイ。根性あるな。

10-9グッドマン

9R

チャイノイが前進してくる。グッドマンはジャブを浴びせ止める。

そして近距離で打ち合う。チャイノイのアッパーが何度もヒット!被弾が多くなったグッドマン

ここぞとばかりに畳みかけるチャイノイだが、さすがに打ち疲れる。グッドマンは足を使いエスケープ。このラウンドをひとまず凌ぐ。

チャイノイが意地を見せる10-9チャイノイ

10R

勢いに乗るチャイノイはアッパー、フックと嵐のような連打を浴びせる!まともにもらってるが、クリンチすらしないグッドマン。打たれ強いのか気持ちが強いのか。

すると後半は前進してくるチャイノイに、右ストレートを何度も合わせるグッドマン!チャイノイの顔がのけぞるがダメージは深くなさそう。

ダメージを与えていたのはチャイノイか10-9チャイノイ

11R

いきなり鋭い右ストレートをヒットさせるグッドマン!続いて左フックもヒット!

その後もグッドマンは高速ワンツーを浴びせ優位に立つ。後半は足を使い無理に打ち合わないグッドマン。

10-9グッドマン

12R

足を使うグッドマン。逃げ切るだけと見せかけて、要所要所で左フック、左ボディーと的確にヒットさせる老獪ろうかいさを見せるグッドマン。

そのまま終了のゴング。10-9グッドマン

カズキ採点では115-113でグッドマンの勝利、、、

かなり接戦に見えた。

果たして結果は。。。

試合結果

ジャッジ1人目117ー111、ジャッジ2人目117ー113、ジャッジ3人目119ー109

以上3ー0の判定で勝者、サム・グッドマン!!

感想

井上尚弥に挑む前哨ぜんしょうとしては、今ひとつの出来で強さをアピールすることができなかったグッドマン。それに加えて左手骨折の疑いがあるようだ。。。

まあ格下相手に予想外の苦戦をいられることはよくあること。常に圧倒的な実力差で勝ち続けてるボクサーは、世界見渡しても井上尚弥以外見たことない。(自分は)

1試合の出来が悪かっただけで、「相手にならない」「試合する価値ない」だボロカス言う過激派は一定数いるが。。。

何はともあれスーパーバンタム級で井上尚弥の次に強いのはグッドマンだという印象は変わらない。

ネリドヘニーのような一撃はないが、スピードとパンチ精度は断然上ディフェンス技術はフルトン並

打たれ強さは階級屈指ムロジョンよりもポイントを取るのが上手い

そして何より気持ちが強い井上尚弥が相手だろうと自分のボクシングをつらぬけるはずだ。これが大事。フルトンはこれが足らなかった

グッドマンの左手の回復次第ではあるが、何としてでも念願の井上尚弥戦を実現してほしい。オーストラリア開催であれば相当盛り上がる興行となるだろう。

隻眼カズキ

網膜剥離で片眼を失明しました。眼科検査の仕事をしてます。トレーニングが日課でSASUKE予選会に3度出場してます。
ボクシング観戦にハマるきっかけになった試合は井上尚弥VSオマール・ナルバエスです。
当ブログではアップセット(番狂せ)が起きそうな対戦カードに注目し、試合記録を投稿していきます。

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