2024年1月23日 WBA世界フライ級(50.80キロ以下)タイトルマッチ
アルテム・ダラキアン(王者)VSユーリ阿久井政悟(WBA同級1位)
開催地: エディオンアリーナ大阪
配信: Amazon Prime Video
無敗の絶対王者ダラキアンに世界初挑戦となるユーリ阿久井が挑む一戦。この試合はセミセミだが、実質メインと言っていいカード。
メインは拳四朗の防衛戦。セミは那須川天心のボクシング3戦目。
選手情報
アルテム・ダラキアン
生年月日: 1987年8月10日 (36歳)
国籍: ウクライナ
プロ戦績: 22戦全勝(15KO)
王座獲得日: 2018年2月24日 6度防衛中
身長164cm・リーチ164cm・オーソドックス
過去の対戦相手: 有名どころはおらず
ファイトスタイル
型にハマらない変則スタイル。基本ノーガードだが距離設定がうまく、クリンチも多用するため被弾は少ない。
カウンター技術が高いため不用意に相手は近づけず、時折飛び込んで強打を放ったりと相手のペースに乗せない老獪さがある。
ユーリ阿久井政悟
生年月日: 1995年9月3日 (28歳)
国籍: 日本
プロ戦績: 18勝(11KO)2敗1分
身長164cm ・リーチ168cm ・オーソドックス
過去の対戦相手: 中谷潤人(2017年8月⚫️6RTKO)、矢吹正道(2018年4月⚪️1RTKO)
ファイトスタイル
何といってもノーモーションの右ストレート。11KOの内9が1ラウンドKO勝ちという戦績が示すようにパンチの威力は申し分なく、タイミングがいい。
堅いブロッキングでディフェンスもいいが、手数がやや少ないため判定までいくと危ういか。
注目ポイント
ダラキアンの母国ウクライナでは未だロシアによる軍事侵攻が続いている。ダラキアンとしては何が何でもベルトを持ち帰り、ウクライナに明るいニュースを届けたいところ。
阿久井は岡山県の倉敷守安ボクシングジムに所属。地方ジム所属で世界チャンピオンになったのは、戦後プロボクシング70年以上の歴史で3人だけ。勝てば岡山県ジム初の世界チャンピオン誕生となる。
試合解説
阿久井入場の際、感極まり涙を流す阿久井妻。今までの苦労が感じられる。
1R
試合開始。ダラキアンは阿久井のパンチを警戒して距離を保ち様子を伺う。阿久井はじりじり圧力をかけ、強烈なワンツーを振るうが空を切る。ダラキアンが足を使って逃げる展開だが、ダラキアンもいきなり飛びこんでの左フックを放つ。阿久井はしっかりガード。両者クリーンヒットはなく1R終了。
積極性と手数を評価し、10-9で阿久井とする。
2R
このラウンドも阿久井がプレッシャーをかける。阿久井の左ボディージャブ、右ボディーストレート、右オーバーハンドが次々とヒット。そして強烈。ダラキアンは面食らってる様子。阿久井は無駄な動きをせずパンチをもらわない。
このラウンドは明確に10-9で阿久井。
3R
阿久井の左ボディージャブが当たる。威力はもはやストレート。両者の距離が近くなったところ、阿久井によるバッティング発生。故意ではないので致し方ない。阿久井のペースではあるが攻め急がず冷静にラウンドを終わらせる試合巧者ぶりも見せつける。
10-9で阿久井。
4R
手数は阿久井、ダラキアンは打ち終わりを狙うが両者精度を欠く。ラウンド後半ダラキアンが右ロングフック、右ボディーアッパーをヒットさせる。
ディフェンス技術、有効打を評価して10-9でダラキアン。
5R
開始早々プレッシャーを強める阿久井。KO狙いか接近戦に持ち込む。しかしダラキアンの左フックからの右フックが立て続けにヒット。阿久井はそれでも前進して手を出すが当たらない。阿久井の単調な攻めにダラキアンが慣れてきたか。
10-9でダラキアン。
6R
ダラキアンが足を使ってリングを回る。阿久井に手数を出させて消耗させる狙いか。と思ったところに阿久井の強烈な右ボディー!ダラキアンが前屈みになり効いた素振りを見せる。そこにすかさず左ボディー。ダラキアンはたまらずクリンチ。その後も左ジャブを中心に阿久井がコントロールするがダラキアンも反撃して意地を見せる。
阿久井の修正力が光ったラウンド。10-9で阿久井。
7R
サークリングするダラキアンを阿久井がコーナーに追い詰め、右ボディーストレート、左フックをヒットさせる。ボディーに意識をいかせたところで会心の右ストレートが炸裂!ぐらつくダラキアン。なんとかここを凌ぐ。
阿久井のタイミングが合ってきた。10-9で阿久井。
8R
左ボディージャブ、アッパー、右ストレートと浅めではあるが阿久井のパンチが的確にヒットする。ダラキアンは疲れてきたか。返しを打てなくなってきている。
これはKOあるか。10-9阿久井。
9R
ダラキアンもこのままでは終わらない。いきなり飛びこんでの右アッパーをヒット!阿久井の顔が跳ね上がる。もう少し深く入っていたら危なかった。その後も接近戦からダラキアンがボディーを当てる。
チャンピオンの意地。ダラキアン10-9。
10R
ダラキアンの左ボディージャブがヒット。阿久井はバランスを崩すが踏ん張る。スリップ気味ではある。今度は左ジャブがタイミングよく顔面にヒット。阿久井がぐらつく。これは効いたか。ダラキアンは巧みなクリンチワークでこのラウンドを終わらせる。
10-9ダラキアン。
11R
阿久井の左ジャブが顔面にヒット。さらにダラキアンのクリンチが中途半端になったところに左フックを当てる。追撃の左フック、左ボディーと阿久井がダラキアンを追い詰める。足を使ってなんとか耐えたダラキアン。
10-9で阿久井。
12R
ダラキアンが軽めのジャブを打っては離れ、セーフティにポイントを取りにくる。阿久井もカウンターを警戒して無理には攻めない。終了間際に両者打ち合うがお互いクリーンヒットはなく最終ラウンド終了。
10-9でダラキアン。
両者すべてを出し切った表情。
カズキ採点では115ー113で阿久井の勝ちだが果たして結果は。。。
試合結果
ジャッジ1人目116ー112、2人目117ー111、3人目119ー109。
以上、3ー0の判定で勝者…
and NEW!!政悟!ユーリ阿久井!
新チャンピオン!そして岡山県ジム初の世界チャンピオンが誕生!おめでとう!倉敷市民のカズキも嬉しい。
勝利者インタビューではダラキアンに対してのリスペクト、家族への感謝の思いが述べられた。守安会長にベルトを巻く粋な計らいも見せた。歴史的快挙を成し遂げたにも関わらず非常に落ち着いており、謙虚な性格は好感が持てる。
感想
公式スコアは思ったより差が開いたが、最後の最後まで勝者が分からない激闘だった。ファイトスタイルは違えど、お互いの持ってるスキルを存分に出し切った試合だった。
今後期待する展開はやはり統一戦。フライ級最強の呼び声高いジェシー・ロドリゲスとの試合はぜひ観たい。ダラキアンにこの勝ち方ができた阿久井なら十分勝機はある。ライトフライから上がってくるであろう寺地拳四朗との日本人対決も観たい。
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