パウンド・フォー・パウンド(PFP)とは
プロボクシングの階級はミニマム級~ヘビー級まで全部で18階級。
もし体重差がないと仮定し、全階級のボクサーが同じ条件で戦った場合、誰が一番強いのかを示す指標がパウンド・フォー・パウンド。
PFPの選定基準
パウンド・フォー・パウンドの選定基準はメディアごとで若干異なる。仮想のランキングであるため、そもそも正解はない。
ボクシング好きひとりひとりが、自分なりのPFPランキングを考えて楽しめばそれでいいのだ。
DAZNの選定基準
スポーツチャンネル「DAZN」の選定基準が分かりやすかったので、紹介させて頂く。
①通算成績
勝敗数は重要。順位を上げるためには勝利が必要。
②対戦相手のレベル
レベルの低い相手に全勝しても意味はない。最大のライバルやチャンピオンを下してこそ勝利の価値が大きくなる。
③勝利した試合のクオリティ
格好良く勝つことも印象を高める要因。格上の対戦相手を乗り越えて、大きな勝利をもぎ取るというのも重要な要素。
④活動量
ランキングに載った選手がしばらく試合を行わなかったからといって、すぐに選手としての価値が落ちるわけではない。
一方で直近の大一番で勝利を挙げた選手からの突き上げを受けるリスクがある。
階級ごとにピックアップ
軽量級編(ミニアム級〜フェザー級)
ミニアム級
全然知らない
ライトフライ級
寺地拳四朗の階級。ただ拳四朗が飛び抜けて強いわけではない。ファイトスタイルも迷走中だし。
フライ級
ダラキアンに見事完勝したユーリ阿久井を推したい。次点は世間評価が高いジェシー・ロドリゲス。
スーパーフライ級
正直パッとしない階級。エストラーダと井岡がどっこいどっこいかな。
バンタム級
現時点の実力と実績ではエマヌエル・ロドリゲスが1番かなと思うが、中谷潤人の勢いは恐ろしい。
スーパーバンタム級
説明不要で井上尚弥だ。次点は総合力が高いサム・グッドマン。怖いもの知らずのカシメロもおもしろい存在。
フェザー級
最有力だったロベイシー・ラミレスはエスピノサにまさかの敗北を喫した。
レイモンド・フォードのスピードと技術はとんでもない。強打者ホルマトフ戦ではインファイトの強さも見せつけTKO勝利。スターになること間違いなしだ。
中量級編(スーパーフェザー級〜ミドル級)
スーパーフェザー級
コルディナと接戦だったラヒモフにストップ勝ちしたエドゥアルド・ヌニェスを推す。
ナバレッテは3階級制覇王者の肩書きはあるが、パフォーマンスに波があり、疑惑のカウント事件もあったりと評価しにくい。
ライト級
この階級でベストだったボクサー達が揃って昇級したため、残り物感はどうしても拭えない。
シャクールはデ・ロス・サントス戦がひどい出来だったし、ロマチェンコは大一番では負けるし、ジャーボンテイ・デービスはマッチメイクがショボい。
注目は東京五輪金メダリストでアマチュアの怪物アンディ・クルス。プロ転向後も多彩な攻めと高度なディフェンス技術を見せつけている。世界を取る日は近いだろう。
スーパーライト級
現在最もハイレベルな階級。エルガシェフを粉砕したマティアスかプログレイスに何もさせなかったヘイニーが最強筆頭だろう。
他にもテオフィモ・ロペス、ジャーメイン・オルティス、イスマエル・バロッソ、昇級してくるイサック・クルスがおり、目が離せない階級だ。
ウェルター級
クロフォードVSスペンスの頂上決戦は蓋を開けてみれば、クロフォードの圧勝だった。スペンスが弱かったわけではなく、クロフォードが異次元すぎた。
クロフォードもスペンスも階級を上げるのが濃厚で、ウェルター級はますますつまらなくなる。ジャロン・エニスは物足りない。
近い将来、ヘイニーが階級を上げウェルター級の主役になっているだろう。
スーパーウェルター級
ティム・チューとバージル・オルティスJrは似たファイトスタイルで実力も拮抗しているように見える。
クロフォードが階級を上げてティム・チューに挑戦する噂がある。もし実現すればクロフォードの圧勝だろう。
ミドル級
アリムハヌリはおそらく全盛期のゴロフキンより強い。パンチが非常に硬く、得意のアッパーカットは芸術の域。完成度が高いボクサー。
カルロス・アダメスは野生味のあるハードパンチャーだが、アリムハヌリにはまず勝てないだろう。
重量級編(スーパーミドル級〜ヘビー級)
スーパーミドル級
実績は文句なしでカネロだが、近年は消極的なマッチメイクが目立ち、カネロ時代の終わりを感じさせる。
ベナビデスとモレルは過大評価されている。今のカネロにも勝てないだろう。
この階級でカネロに勝てるとしたらムンギアだけだろう。ムンギアに僅差判定で負けたデレフヤンチェンコも相当強いが。
ライトヘビー級
ビボルとベテルビエフの二大巨頭。長らく王者に君臨している両者がようやく激突する。どちらも負ける姿が想像できない。世紀の一戦だ。
とてつもないポテンシャルを感じるのがカリル・コー。パンチの重みはベテルビエフ以上か。
クルーザー級
グラミリアンは優れたインファイター。ただウシクがヘビー級に昇級し、ますます注目されない階級になった。
スーパークルーザー級/ブリッジャー級
全然知らない。設立されたばかりの階級。
ヘビー級
技術はピカイチだがパワー不足のウシク。MMA選手のガヌー相手にダウンを奪われ実質負けのフューリー。この2人の対戦を最強決定戦と言うのはしっくりこない。
圧倒的な強さでガヌー相手に2RKO勝ちしたジョシュアが現ヘビー最強だろう。ウシクと対戦した頃のジョシュアとヴァリン戦以降のジョシュアは別人だ。
ジャレッド・アンダーソンも要注目だ。ヘビー級離れしたスピード、華麗なディフェンスはマイク・タイソンを彷彿とさせる。
カズキ独自PFPランキング
ピックアップしたボクサーの中から1位から順に選出させて頂いた。実績は大事だが、それよりも直近の試合の勝ち方・パフォーマンスを重視した。
ようするに過去でも未来でもなく、現在その階級でどれだけ圧倒的な強さかで決めている。
1位 テレンス・クロフォード
国籍: アメリカ
プロ戦績: 40戦40勝(31KO)
現WBAスーパー・WBC・WBOスーパー世界ウェルター級統一王者
2位 井上 尚弥
国籍: 日本
プロ戦績: 26戦26勝(23KO)
現WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級統一王者
3位 デビン・ヘイニー
国籍: アメリカ
プロ戦績: 31戦31勝(15KO)
現WBC世界スーパーライト級王者
4位 ジャニベク・アリムハヌリ
国籍: カザフスタン
プロ戦績: 15戦15勝(10KO)
現IBF・WBO世界ミドル級統一王者
5位 ディミトリー・ビボル
国籍: ロシア
プロ戦績: 22戦22勝(11KO)
現WBA世界ライトヘビー級スーパー王者
6位 サウル・アルバレス
国籍: メキシコ
プロ戦績: 64戦60勝(39KO)2敗2分
現WBAスーパー・WBC・IBF・WBOスーパー世界スーパーミドル級統一王者
7位 アルツール・ベテルビエフ
国籍: カナダ
プロ戦績: 20戦20勝(20KO)
現WBC・IBF・WBO世界ライトヘビー級統一王者
8位 スブリエル・マティアス
国籍: プエルトリコ
プロ戦績: 21戦20勝(20KO)1敗
現IBF世界スーパーライト級王者
9位 レイモンド・フォード
国籍: アメリカ
プロ戦績: 16戦15勝(8KO)1分
現WBA世界フェザー級王者
10位 ハイメ・ムンギア
国籍: メキシコ
プロ戦績: 43戦43勝(34KO)
リング誌と比較
最も権威ある米ボクシング専門誌「ザ・リング」のランキング(2024/03/02)
1位 テレンス・クロフォード
2位 井上 尚弥
3位 オレクサンドル・ウシク
4位 サウル・アルバレス
5位 アルツール・ベテルビエフ
6位 ディミトリー・ビボル
7位 デビン・ヘイニー
8位 エロール・スペンスJr
9位 ジャーボンテイ・デービス
10位 ジェシー・ロドリゲス
リング誌のランキングを見ると、現在の強さよりも実績を評価する傾向にあることが分かる。
まずウシクだが、ヘビー級ではスペシャルな存在とは思えない。無敗ではあるが、足りないパワーを技術でカバーしてギリギリ勝ち切っている印象。ヘビー級にはウシクに勝てそうなボクサーが何人もいる。
クロフォードに完膚なきまでに倒されたスペンスがランク入りしているのは疑問だ。接戦だったなら分かるが。スペンスが圧倒的な存在ではないことは証明されたはずだ。
ジャーボンテイは強敵との対戦を明らかに避けてるから話にならない。ロマチェンコ、シャクールより評価は下だ。
ジェシー・ロドリゲスは過大評価。衰えたクアドラスとシーサケットに勝ったから何になる。パンチの恐さがないエドワーズに苦戦していたし、ユーリ阿久井の方が強いと思う。
今後のPFP予想
クロフォードは試合頻度が年1になってきており引退も近いだろう。そのため井上尚弥がしばらくPFPキングに君臨するだろう。
その後デビン・ヘイニーが井上尚弥からキングの座を奪うと予想する。
他ではジャレッド・アンダーソン、ムンギア、アリムハヌリ、アンディ・クルス、レイモンド・フォードがPFPランキングの常連になっていると予想する。
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