2024年6月2日(日本時間)
WBA世界フェザー級(57.15キロ以下)タイトルマッチ
レイモンド・フォード(王者)VSニック・ボール(WBC同級1位)
開催地: サウジアラビア
配信: DAZN
不利予想を覆し強打者ホルマトフに勝ったレイモンド・フォードとレイ・バルガスに実質勝っていたニック・ボールが激突。
どちらも華があり実力は申し分ない。そして若い。事実上フェザー級最強を決める戦いと言っていいだろう。
選手情報
レイモンド・フォード
生年月日: 1999年3月16日 (25歳)
国籍: アメリカ
異名: 獰猛
プロ戦績: 16戦15勝(8KO)無敗1分
身長170cm ・リーチ173cm ・サウスポー
過去の対戦相手: ヘスス・マグダレノ(⚪️判定3-0)、オタベク・ホルマトフ(⚪️12RTKO)
ファイトスタイル
ハンドスピード・パンチへの反応何もかもが速い。スロー映像で見ないと何のコンビネーションで相手がダウンしたか分からない。
カウンターを合わせる技術が高く、シャクール仕込みのディフェンスも一級品。ホルマトフ戦ではインファイトの強さも見せつけた。
それに加えて打たれ強い。ホルマトフのボディーショットを何度貰っても効いた素ぶりを見せなかった。
ニック・ボール
生年月日: 1997年2月28日 (27歳)
国籍: イギリス
プロ戦績: 20戦19勝(11KO)無敗1分
身長157cm ・リーチ157cm ・オーソドックス
過去の対戦相手: アイザック・ドグボエ(⚪️判定3-0)、レイ・バルガス(△判定1-1)
ファイトスタイル
超小柄・肉厚マッチョ。ボクサー向きとは言えない体型。見た目通りフィジカル負けすることは皆無で体幹が強い。
意外にも動きは機敏でスタミナの鬼。12Rプレッシャーをかけ続け、手数は落ちない。
ガードは鉄壁だが攻防分離気味のスタイルであるため、相手からするとカウンターの恐さはないか。
注目ポイント
レイモンド・フォードは個人的にイチ推しのボクサー。今後PFPランキングの常連になること間違いなし。フォードは減量苦のようでボールとの試合後は階級UPが濃厚。
ボールは直近の試合でレイ・バルガスから2度のダウンを奪うも、疑惑のドロー判定で世界王座獲得を逃した。再び巡ってきたチャンスを何が何でも活かしたいところ。
試合解説
1R
まずはフォードがジャブで牽制。ボールも鋭い踏み込みから右オーバーハンドを返す。ボールもスピードあるな。
両者ガードが堅く、なかなかクリーンヒットは許さない。
フォードが左ボディー、左顔面ストレートと続けてヒット。ボールもロープ際に詰めてラッシュを放つが、フォードはしっかりガード。
またしてもフォードの左ボディーがヒット。左ボディーが上手く機能している。
フォードが高速コンビネーションを上下に打ち分ける。ボールも圧力をかけ手数は出しているが、スピードで上回るフォードに翻弄され始めている。
10-9フォード
2R
フォードが右顔面ジャブを囮に左ボディーストレートを上手くヒット。フォードのジャブが着実に当たり始めた。
フォードをロープに詰め、上下に猛ラッシュを放つボール。だがフォードの鉄壁ディフェンスを崩せない。
リング中央で足を止め打ち合う両者。フォードが左右の強烈なボディーショットをヒット。パンチの精度・威力ともにフォードが上。
がむしゃらにラッシュを放つボールに対して、フォードはスマートに強烈な右ボディーをヒット。
前戦のホルマトフと比べて、今回はイージーと感じてそうなフォード。
10-9フォード
3R
ハンドスピードもそうだが、とにかくバックステップが速いフォード。
手数を出し続けるボールに対して、フォードは冷静にカウンターを狙っている。
ボールの右アッパーが軽くヒット。ここぞとばかりにラッシュをかけるボール。ガードの隙間から左アッパーもヒット。
このラウンドは休みがちだったフォードだが、顔面ワンツーを囮に左右のボディーショットを突き刺す。
積極性を評価し、10-9ボール
4R
鋭い踏み込みから強打を振り回すボール。迫力が凄まじい。フォードは間一髪でかわし続ける。
フォードも高速ワンツーで反撃するが、3倍ぐらいの手数でやり返してくるボール。
ボールのフックが顔面にヒット。やや効いた素ぶりを見せるフォードだが、下がらず打ち合う。
ボールの手数・スタミナがエグい。決定打は許さないフォードだが、ラウンド後半は防戦一方だった。
10-9ボール
5R
このラウンドも圧力をかけ続けるボール。フォードはカウンターでビッグパンチを当てたいが、攻防分離でガードが堅いボールには厳しい。
インファイトでパンチを交錯させる両者。ボールは嵐のようなコンビネーションを放ち、左アッパーをヒットさせる。
顔面に意識がいったフォードに対して、ボールは左右のボディーショットを浴びせる。さらにコンビネーションの流れから左アッパーをヒットさせフォードの顔が跳ね上がる。
フォードはしんどい展開が続く。
10-9ボール
6R
両者交互に高速コンビネーションを浴びせる。ボールのアッパーがガードをすり抜けヒットする。
さらにボールは左右のボディーショットをヒット。
フォードのクリンチに苛立つボール。フォードをロープに押し込み、コンビネーションの流れから左フックをヒット。
コンビネーションの差が明暗を分けている。10-9ボール
7R
フォードがジャブ・アッパー・ボディーと軽めではあるが的確にヒット。ボールの鋭い踏み込みに臆さず、カウンターも合わせるようになってきた。
リズムに乗るフォードは右ボディーのダブルを浴びせる。ディフェンスも集中している。カウンター左ストレートも軽くヒット。
高速コンビネーションを交互に打ち合う。的中率はフォードが高い。
するとフォードが左アッパー、右フック、右ボディーのコンビネーション!渾身の左ストレート!さらに左フックと立て続けにヒット!
ダメージは明らかだが、気持ちが強いボールは前に出る。そこにフォードは冷静に右ボディー、右フック、左アッパーと高速コンビネーションをヒットさせる。揉み合いの中で右ボディーフックもヒット。
怒涛の反撃を見せたフォード。10-9フォード
8R
さっそくボールの右フックに、カウンター左ストレートを合わせるフォード。惜しくもクリーンヒットせず。
するとボールが踏み込みジャブを放ったところに、強烈なカウンター左フックを合わせるフォード!ボールの顎に命中!
後半まであえて温存してたのかというぐらい、フォードがキレキレ。冷静にボールのパンチを見切る。
手数・的中率ともフォードが上回る。10-9フォード
9R
高速ワンツーで顔面に意識をいかしたところに、左ボディーストレートを打ち込むフォード。
ボールも激しい連打の中から左アッパーをヒットさせる。このままフォードの流れにはさせない。
フォードの連打を上手くブロックしながら、右ストレートをヒットさせるボール。
フォードは疲れてきたか。10-9ボール
10R
ボールの左アッパーが綺麗にヒット。フォードも左ボディーストレートをヒットさせるが、パンチは軽い。
両者クリーンヒットは少ないが、見栄えのいい力強いコンビネーションを打ってたのはボール。
10-9ボール
11R
フォードの左ストレートがボールの頭頂部にヒット。続けて左ボディーストレートもヒット。
ボールも負けじと連打を浴びせるが、フォードはバックステップとブロッキングで上手く対処する。
両者の頭がぶつかる距離でインファイト。離れてからフォードは左ボディー、左フックを立て続けにヒット。
このラウンドはフォードが上手くさばいた。10-9フォード
12R
ファイナルラウンド。両手でグローブタッチ。
フォードが鋭い左アッパーを放つが上手くヒットせず。最後の力を振り絞りパンチを交錯させる両者。
フォードのワンツーが随所にヒット。ボールも反撃するが、難なくかわすフォード。
ボールはロープ際に追い込みラッシュをかけるが、フォードのカウンター右フックをもらい下がらされる。
だがボールも左アッパーをヒットさせ見せ場をつくる。さらにカウンター気味に左フックもヒット。
すると今度はボールの左フックに、フォードがカウンター左アッパーを綺麗に合わせる!これは効いた!足元がおぼつかないボール!
それでも高速連打をボディーに叩き込み反撃するボール。さらに左アッパー、右ボディー、右アッパーを続けてヒット。凄まじい闘争心。
終了のゴング。最後まで打ち合い続けた両者に観客も総立ち拍手。10-9フォード
カズキ採点では114-114でドロー
果たして結果は。。。
試合結果
ジャッジカードはスプリットデシジョン!判定が割れた。。。
ジャッジ1人目115-113ボール、2人目115-113フォード、3人目115-113…
and NEW!!WBA新チャンピオン!!ニック・ボール!!
ボールが念願の世界王座獲得!!接戦ではあったがこの判定に文句はないだろう
感想
いやぁ〜。本当にレベルが高い。今年は「フォードVSホルマトフ」が年間最高試合かなと思ったけど、それ以上とも言えるぐらい素晴らしかった。
スーパーバンタムよりフェザーは明らかにレベルが高い。絶対王者は不在だが目まぐるしく王座が入れ替わる群雄割拠の階級だ。井上尚弥の最終章に相応しい。
といってもボール、フォード、ホルマトフが抜きん出てる感はある。この3人に大きな差はない。あっ、フルトンもいるわ。井上尚弥には完敗したけど、フルトンは一流だよ。
ロペスは変則的なスタイルというだけで、大したことない。たぶん近いうち負ける。
フィゲロアは打たれ強いだけで雑。ただあのダーティースタイルは厄介。
エスピノサはすぐ陥落するだろう。仮にロベイシーと再戦したら負ける。
レイ・バルガスは疑惑の判定に救われてばかりで好きじゃない。
えー、お気に入りのレイモンド・フォードが負けたのはショックだが、紙一重の判定だったし評価は落ちないだろう。階級を上げる前にニック・ボールの挑戦を受けたのは賞賛に値するだろう。
そしてニック・ボールは井上尚弥にとって最もしんどい相手になるに違いない。技術はもちろん井上尚弥が上だが、スピードは同等、フィジカル・手数・スタミナはボールが上。
攻防分離のスタイルであるため、井上尚弥でもカウンターを合わせるのは困難。そして仮に当てたとしてもびくともしない打たれ強さがある。対戦となればアウトボクシングに徹する井上尚弥が見れるかもしれない。
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